▲小学生の矯正歯科
成長期は、歯が生えかわり、あごの骨も成長しているため、歯並び・咬み合わせが絶えず変化しています。前歯の凸凹、出っ歯、うけ口、永久歯が並ぶスペースの不足など、不正咬合の状態も様々です。お子様のお口の状態を的確に判断して、適切なタイミングに、短期間で効果的な治療を行うことが大変重要です。
この時期に適切なタイミングで矯正治療を行うことにより、骨格的な改善ができたり、歯を抜く必要がなくなったり、治療が簡単になったり、治療期間が短くなるなど、得られるメリットはたくさんあります。
当院では、お子様になるべく負担の少ない矯正装置を用いて短期間で効率よく治療を行うことを心がけております。
治療方法
成長期にあるお子さまの矯正治療は基本的に2段階の治療を行います。詳しくは以下の図をご覧ください。
こどもの時期からの矯正治療のタイミング
治療のパターン
2段階に分けて行う治療により、それぞれ適切なタイミングで最も効果のある治療を効率よく行うことができます。治療のタイミングを見極めず、やみくもに治療を始めてしまうと、治療期間が長引きお子様の負担は増えるばかりか、むし歯や歯肉炎のリスクが高くなってしまいます。ただし、症状によっては、第1期治療から続けて第2期治療に移行したり、第1期治療を行わず第2期治療で全ての問題を解決したりする場合もございます。
①第1期治療(小学生~中学生前期)
成長期はあごの骨の旺盛な成長があり、乳歯と永久歯が混在する状態です。従って、将来の咬み合わせのキーポイントとなるところを整える、土台づくりの治療になります。
部分的な歯の矯正治療や、あごの成長を利用した治療を行います。治療期間は通常1年~2年で、来院間隔はおよそ1ヵ月に1回です。その後、保定しながら成長観察を行います。
②第2期治療(中学生後期~)
成長がほぼ終了したのを確認して、再分析・再評価を行い、必要があれば仕上げの治療(第2期治療)を行います。第2期治療は大人の治療と同じですが、全ての永久歯を完全な状態に配列して良好な咬み合わせを作ります。
第2期治療の開始時期は全ての永久歯(親知らずを除く)が生え揃い、あごの骨の成長の見極めがつき、自分で治療の意義や必要性を十分に理解できるようになる中学生後期以降が望ましいと考えております。
こどもの矯正歯科治療の目的
あごの骨の成長を利用して、永久歯が生えるスペースを獲得する
将来凸凹が予測される場合は、奥の歯を後方に移動させたり、あご(歯列)を拡大したりして、後から萌出してくる永久歯のスペースを獲得します。結果的に、歯を抜く可能性が低くなります。ただし、あご(歯列)の拡大には限界があります。結果的に、将来歯を抜く可能性が高い場合は、第1期治療を行わず、第2期治療ですべてを治す場合もあります。
あごの骨の成長を利用して、上下のあごの骨の位置関係を改善する
例えば、出っ歯傾向(上顎前突)の場合は、上あごの成長を抑制したり、下あごの成長を促進させたりする治療を行います。逆に受け口傾向(下顎前突)の場合は、上あごの成長を促進させたりする治療を行います。
程度にもよりますが、あごの骨に問題がある場合には、上下のあごのバランスを改善できる唯一の時期です。
機能的な問題を早期に解決し、正常なあごの運動とあごの骨の成長を獲得する
食べる・話す・呼吸をするといった機能的な面で問題がある場合は、歯並びやあごの運動・成長に大きく影響することがあります。将来起こりうる弊害を未然に防ぐことで、歯並びの悪化を予防したり、正常なあごの成長を誘導したりして、仕上げの治療(第2期治療)が短期間ですむようになります。
☆注意を要するこどもの歯並び
- 咬んだときに全ての歯が咬み合わず、一部の歯が干渉する
- 出っ歯
- うけ口
- あごが横にずれている
- 奥歯が咬み合わない
- 舌を咬む、舌を出す、指しゃぶりなどお口に関する癖がある
- 乳歯の奥歯が虫歯などで早期になくなってしまった後、放置している
- なかなか生えてこない永久歯がある
- 乳歯がいつまでも残っている
コンプレックスの早期解消をおこなう
こどもの社会では、歯並びが悪いことで、不本意なあだ名を付けられ嘲笑の対象になってしまうことがあります。感受性の豊かなこの時期に、できることなら不要なコンプレックスは解消して、心身ともに健全な発達を促してあげたいものです。キレイな笑顔は周りの人からの評価・イメージが良くなります。
ドクターコラム:「第2期治療のタイミングについて」
中高生の時期の矯正治療のメリットとして、小児時期よりも自分で治療の意義や必要性を十分に理解できるようになることがあげられます。
この中学生後半から高校生の時期は、第1期治療が終わった後の第2期治療(仕上げの治療)開始のタイミング、もしくは、第1期治療をせずに成長観察のあとに開始する時期の目安です。
一見、大人の歯並びとなった12才や13才からでも仕上げの治療を開始することは可能ですが、問題は上あごと下あごの成長の仕方が異なることと、これらの成長に著しい個体差があることです。
一般的に、上顎骨(上あご)は思春期の身長増加のピーク(女子で11歳頃、男子で13歳頃)を過ぎると成長がほぼ止まるのに対して、下顎骨(下あご)はその後も成長を続け、女子で16歳頃、男子では18歳頃でほぼ終了します。
それよりあまりにも早い段階で仕上げの治療を行ってしまうと、その後のあごの骨の成長や、第二大臼歯の萌出に伴い、再び不正咬合が発現し、せっかく苦労して獲得した良い咬み合わせが崩壊してしまうことが少なくないのです。
ただし、不正咬合のタイプによっては、この下顎骨の旺盛な成長を利用したい場合もございますので、最終的には矯正医の判断が必要となります。
成長期の矯正治療では、治療のタイミングを見極めずに治療を行いますと、治療期間の長期化や、それに伴う虫歯や歯肉炎のリスクの増加、不満足な治療結果を引き起こす可能性があります。
2段階に分けた治療を行うことで、適切な時期に効果的な治療を効率よく行うことが可能となることもありますし、場合によっては、第1期治療から続けて第2期治療に移行したり、成長期の治療を行わず、この中学生後半から高校生の時期の大人の治療で全ての問題を解決したりした方が良い場合もあります。
よくあるご質問Q&A
- こどもの矯正は何歳頃から始めるのが良いですか?
- 6~8歳が代表的な目安ですが、気になった時点でそれ以前でも受診を
すべてのお子さまに当てはまるような年齢はありませんが、第1段階目の矯正治療を判断するタイミングは6~8歳が代表的な目安です。この時期のお口の中では、前歯の生えかわりが進み4本の大人の前歯(上下で8本)が生え揃い、また永久歯の奥歯である6歳臼歯が咬み合います。当クリニックでは、子どもの時期から矯正治療を行う場合には、多くのメリットを有する「2段階に分けた治療(矯正治療のタイミング)」を基本としております。子どもの時期の治療は、お口の働きを整える治療やあごの骨のズレに対する治療、そして歯の生えかわりを利用した治療が出来るなど、多くの利点を有しております。ただし、それ以前であっても、注意を要するかみ合わせがある場合がありますので、気になった時点で一度ご相談下さることをお勧めいたします。
なお、第2期治療(仕上げの治療)開始のタイミングとしては中学生後半から高校生くらいが目安になります。
詳しくはこちら⇒中学生・高校生の矯正歯科治療ページへ - 床矯正(しょうきょうせい)はやっていますか?
- 当院でも使用することもありますが、適応症例が限られます 床矯正はでこぼこの歯並びを内側から拡大して治す取り外し式の装置として一般歯科を中心に近年認知度が高まってきていますが、矯正歯科専門医院では積極的に使用していません。アゴの拡大だけでは矯正治療には限界があります。詳しくは床矯正のページで詳しく解説しています。
- こどもの矯正に痛みはありますか?(子どもが痛がるか心配)
- 大人に比べて、痛みの感じ方は少ないです 基本的に痛みの感じ方には個人差がありますが、お子さんの方が感じる痛みは少ないです。どうしても痛みに敏感な方は、市販(処方も可)の痛み止め(鎮痛剤)をお出ししておりますが、お子さまで痛み止めを使用される方はほとんど皆無に近く、成人でも使用される方は少ないです。
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初診相談は診療時間中に随時受付しております。また、月に一度休日相談日を設けております。一人一人に十分な診療時間を確保するために予約制をとっております。さいたま市内で矯正歯科治療をお考えの方は、お電話でご予約の上、ご来院下さい。